【組織開発の実況中継#1】 新規事業チームはどうあるべきか? MBTIの観点から考える
とある成長企業の新規事業チームから、MBTIを使ったチーム開発のご依頼を頂き、3回のワークショップを設計。
MBTIは、個人が自分の認知スタイルに気づき、自己・他社理解を深めるメソッドですが、チームで使うと非常に大きな効果が得られます。(*関連記事 「包容力のある組織の作り方 MBTIの活用法」)
アメリカではフォーチュン100の7割の企業で使われていたり、大リーグでもチーム理解の一貫として使われたりしています。日本でも、例えば、ラグビー日本代表チームでエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチが、代表チームの相互理解でMBTIを使っていました。
3回のセッションの設計
今回の3回のシリーズは、自己・他社理解と共に、「チームの姿が明らかになる」ということを目的に設計しました。3回の組み立ては下記の通り
・1回目 ベーシックフィードバックセッション
・2回目 タイプダイナミクスと模擬会議
・3回目 組織文化とシステムコーチングセッション
1回目は通常の「ベーシックフィードバック」と呼ばれる、初めてMBTIを受ける人向けのセッション。これは、どんなケースでも同じセッションを行います。
そして今回行ったのが2回目。
2回目は、タイプダイナミクスという観点から、MBTIの機能の中で個人が最も信頼して使う「主機能」に焦点を当てるセッションにしました。
まずは「主機能」という考え方を理解してもらいます。その上で、チームで模擬会議を行います。会議の中で、時間を区切って意図的に「使う機能を変える」ということをしてもらいます。
この会議を行うと、自分の主機能を使う時間は自然に発言が出るのですが、主機能で無い機能(特に、最も使わない劣等機能)を使う時は、中々言葉が出てきません。
チームには色々なタイプの人が居り、様々な主機能があります。この偏りとチーム内の役割の掛け算で、チーム会議の特徴が作られます。そのことに自覚的になるというのが2回目のセッションの目的です。
チーム内で個人の主機能が上手く使えていない?
ところがこのケースでは不思議な状況が観察されました。
チームの半分の人の主機能が「外N=外界で使う直観機能」のはずなのに、N=直観の議論が盛り上がらないのです。その代わりに「T=思考」の議論で多くの発言が出ました。チームの中にはT主機能の人は1人しか居ないので、これはあまり自然には見えません。
MBTIの観点からは、多くの人が主機能ではなく、補助機能か第三機能を主に使って会議をしている、というように見えました。とすると、当然疑問が浮かんできます。果たして、個人が最も信頼し自然に使うはずの主機能はチームの中で上手く使われているのか、と。
「現状」と「ありたい姿」を考え/対話するメソッドとしてMBTIを使う
この点を反映したところ、一歩深い議論が始まりました。
つまり、この会社の元々の組織文化が「T=思考」中心だと言うのです。目的を明確にし、それを達成するための筋道を論理的に立てていく考え方。個人であれチームであれ、常に目的意識を問われ、計画を設計する合理的な仕事の仕方。基本は常にギャップアプローチ。
その組織文化が身に沁みついているがゆえに、Tの議論はオートマチックに出てくるけれど、そのほかの機能(S=感覚、N=直観、F=感情)の議論が出てこない。
Tを中心にした組織文化が好ましいかどうかは、チームによって異なります。チームとして何を目指しているのか、どんな役割を負っているのか、どうありたいのか。
このチームは新規事業を担当していました。目的を明確にし、そこから逆算するように思考を進めて行くやり方は、多くの場合効率的ではありますが、何か新しいことを進める、今までにないやり方を試すことが必要なチームにおいて、本当にそのやり方で良いのか。半数の人の主機能であるN=直観機能を、もっとチーム内で有効に使うような組織文化を作らなくて良いのか。
今の自分達のチームはどのような姿をしているのか。そして、どうありたいのか。
MBTIという共通のフレームワークの中で議論をすることで、チームの姿が明らかになり、チームとしてどうして行きたいかという一歩深い議論になりました。
組織は、その目的や戦略に合わせて意識的にその姿を作っていくべきです。MBTIを使ったセッションはその大きな助けになるということを改めて実感するセッションでした。