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効率的な会議の進め方 MBTIを使った会議法

POSTED: 8月 9, 2016, 7:38 pm

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会議の効率が悪い

「うちの会社の会議は効率が悪いなあ」という思いを持つ人は多いんじゃないでしょうか。

私は組織開発の仕事をしているので、クライアント社内の会議に出席させてもらうことが良くあります。もちろん、私は外部の人間なので、会議で話されている具体の内容は理解できないことが大半です。それでもクライアントの社内会議を見ると、その組織が抱えている問題がとても良く見えることがあります。

会議には会社の組織文化が凝縮されて表現されます。

よくある会議改善の方法

会議の効率性の悪さは多くの人が課題を感じているテーマです。その為、色々な会議改善の手法が提案されています。

特に多いのが、「会議フォーマットを統一する」タイプの手法。一定の型に従ってアジェンダ設定をするタイプのものや、板書の描き方を工夫したりするものがあります。

これらはどれも有効な方法で、会議の効率性改善には一定の効果があると思います。しかし、これらの改善方法の多くに欠けている観点があります。

それは、会議に参加するメンバーは「多様性」を持った存在であり、全ての人が自然と思う型は無いということです。その多様性を無視してフォーマットを1つにして全員を枠をはめるのは、個性を殺す様でもったいないのではないかと常々感じます。

大半の会議フォーマットは、そのフォーマットを作った人が「自然」と思う方法になっています。その為、それらの会議フォーマットを有効だ・やりやすいと思う人が居る一方、有効でない・やりにくいと思う人が必ず出てきます。これはもう必ず出てきます。

例えば、単純な例で言えば、ブレストが大好きな人が居る一方でブレストの流れについて行けないと感じる人が居るわけです。また、絵を多用したグラフィックファシリテーションやマインドマップがしっくりくる人が居る一方で、それだと本論からずれているような気がして居心地が悪くなる人がいます。

もちろん、これらは「型」なので、皆が1つのやり方で会議を進めることに意味があるわけです。しかし、この個人の多様性を無視して「型」を押し付けて本当に良いのか。

MBTIを使った会議の効率化

「守・破・離」という言葉あるように、日本では「型」を上手く使うことがごく自然に行われています。

「型」の良さを生かしつつ、個人の多様性/向き・不向きも考慮したい。

それを考える上でも参考になるのがMBTIです。(MBTIについての詳細な説明は他の記事「包容力のある組織の作り方 MBTIの活用法」を参照してください)

人は朝起きてから夜寝るまで、「知覚」して「判断」するということを繰り返しています。朝起きたら時計を見て(=知覚)、起きて着替えようと思います(=判断)。

この「知覚」と「判断」が二律背反構造になっていると考えるのがユングのタイプ論で、MBTIの基礎になっています。

「知覚機能」 = 感覚(S)か直観(N)
「判断機能」 = 思考(T)か感情(F)

MBTIを使った会議では、この4つの機能(感覚(S)、直観(N)、思考(T)、感情(F))を、この順番で時間を区切って意識的に切り替えていきます。

そうすることで、すべての機能をバランス良く使った会議を行うことが出来ます。また、4つの機能を切り替えていくことで、個人の多様性を生かすことになります。なぜならば、個人のタイプによって4つのどの機能を最も自然に信頼して使うかが変わってくるからです。

例えば、感覚(S)を心の利き手とする人は、会議において「何が事実なのか」を明らかにし、「何がわかっていて何がわかっていないのか」を指摘してくれるかもしれません。そして、直観(N)を利き手とする人は、そこから「どんな可能性があり得るのか」「本題から一旦離れた時にどんな未知の関係性が見えるのか」を教えてくれるかもしれません。

タイプによって心の利き手は異なります。MBTIをベースにした会議運営をすることで、すべての人が自分の利き手の力を発揮できるようになります。

「会議」と「会議もどき」

会社を変える会議の力」を書かれた杉野さんは、会社には「会議」と「会議もどき」があると指摘しています。そして、それらを下のように整理しています。

縦軸が、そこで話されるのが「結論」なのか「選択肢(アイデア)」なのか。横軸が、そこでは何かを「決める」目的なのか、それとも「共有」するものなのか、という2軸での整理です。杉野さんは、「結論」を「決める」場のことを「会議」と呼んでそれ以外を「会議もどき」と呼んで区別しています。

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この整理において、実際のビジネスでの話し合いは、順番としては「報告会」→「検討会」→「会議」→「連絡会」の順番で進んでいきます。

そして、ここで気づいて欲しいことは、この順番は、上記で述べたMBTIの4つの機能(S,N,T,F)が使われる順番とほぼ一致しているということです。

すなわち、報告会では「事実を正確に把握する」感覚機能(S)が主に使われ、検討会では「可能性を考える」直観機能(N)が主に使われます。

そして、会議では「原理原則に即して合理的に物事を判断する」思考機能(T)と「気持ちや価値観に照らし合わせて物事を判断する」感情機能(F)が使われます。連絡会では決まった事実を正確に伝えつつ、文脈を読んだり、思考を整理したり、場の感情を読んだりするため、すべての機能がバランスよく使われます。

もちろん、それぞれのプロセスで1つの機能だけが使われるというわけではありませんが、どの機能が使われやすく、また役割を果たす傾向にあるかという差はあります。

「型」と「個人のタイプ」を意識することで会議が変わる

実際の組織の会議では1回の会議の中で、上記の「報告会」「検討会」「会議」「連絡会」の4つが一気に行われることが多いと思います。

この順番を「」として守りつつ、個人のタイプの多様性を考えることが大切です。MBTIのタイプ、特に「主機能」と呼ばれている、個人が最も信頼して使う機能に着目することで、誰がどのように会議に貢献しやすいか/しにくいと感じるかを知るヒントが得られたりします。そうすることで、会議の中で4つの順番を誰がリードするのか、誰がどういう「役割」を取るのかをデザインするきっかけが得られたりします。

勘違いして欲しくないのですが、すべての人は4つの機能を使うことが出来ます。違うのは、どれを最も信頼して使うか、という順番です。よって、仮に、組織の中にある機能を主機能とする人が居なかったとしても、組織の中の誰かが役割を取ってその機能を使います。ある機能を主機能とする人が居なかったら外から人を呼んでこなければならないという話ではありません。

そうではなくて、個人の強味を生かしつつ、多様性を元にした組織としての強さを考えて、会議の仕方を自らデザインしていくことが重要だということです。

そうしたことを組織できちんと対話して皆が合意することで、組織の会議は変わっていきます。

効率的な会議の進め方を探して、フォーマットを統一するというのも選択肢としてはあるのですが、私は、まずその組織の中の自己・他者理解を深めて、そこから自分たちなりの会議の仕方を決めていくことが有効だと考えます。

渡辺寧

AUTHOR:渡辺寧(わたなべ やすし)

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。 2014年に独立し、現在は「人と組織が変わること」に焦点を絞ったコンサルティングに取り組んでいる。プライベートではアシュタンガヨガに取り組み、ヨガインストラクターでもある。

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